新型コロナウイルスの流行により、手洗いや消毒の重要性が広く認知されました。
ドアノブや手すりなど、手で触れる箇所のアルコール消毒も一般的に行われるようになりましたが、手で触らないといけない楽器はどう消毒すればいいのか分からない方も多いのではないでしょうか。
楽器別に消毒方法、それに伴う注意点をご紹介いたします。
目次
消毒液の種類
一時は品切れが相次ぎ中々手に入らなかった消毒液。
そのおかげか、コロナ流行以前に比べて消毒液の製品が多く並ぶようになりました。
そもそも、成分の違いによって効果は変わってくるのでしょうか?
一般的に流通している消毒液の多くは「アルコール」もしくは「エタノール」と表記されています。
実は意外と知られていませんが、消毒成分のアルコールとはエタノール成分のことを指します。
アルコール成分として「イソプロパノール」という消毒成分が市販薬として売られています。
こちらも70%以上の濃度でコロナウイルスに効果的とする報告がありますが、匂いがきつく、エタノールよりも脂を落とす作用が強く手が荒れやすいなどの欠点があるようです。
また、ジェルタイプのものなどは保湿成分の「グリセリン」が含まれているものが多く、揮発性がなくベタベタした感触が残ってしまうので、楽器用にも演奏前の使用にもあまりおすすめできません。
新型コロナウイルスに有効な消毒剤として、
◆界面活性剤入り中性洗剤
◆次亜塩素酸ナトリウム
◆エタノール
これらを厚生労働省および経済産業省が有効性を認めています。
ピアノ鍵盤
不特定多数が触るものの代表格ではないでしょうか。
個人宅のピアノであればご自身が触るだけなので消毒の必要はありませんが、学校やピアノ教室など、どうしても消毒したい場面が出てきますよね。
ピアノ鍵盤の表面の素材は木ではありません。
白鍵の上側はアクリペットという樹脂で、黒鍵はフェノール樹脂で覆われています。
界面活性剤入り中性洗剤・次亜塩素酸ナトリウムは、白鍵・黒鍵ともにOKです
溶液を染み込ませて固く絞った柔らかい布でまず拭きます。
5分間置き、その後水を染み込ませて固く絞った柔らかい布で水拭きします。
さらに乾拭きをすれば完了。
鍵盤を消毒する場合、必ず表面のみにしましょう。
ピアノ鍵盤は木製です。木の部分は水分が大敵!
横に滑らせて拭くのではなく、必ず1鍵ずつ丁寧に拭きましょう。
エタノールは白鍵・黒鍵ともにNG
エタノールで鍵盤を拭くと、表面がひび割れてしまいます。
これは何度か消毒する内に出現してくるものなので、1~2度であれば一見問題ありませんが、定期的に使用するのは厳禁です。
外装
昔のピアノは漆で仕上げられていましたが、現在、ピアノの黒色鏡面仕上げはポリエステル塗装です。
まるで鏡のように反射する、この塗装です。
このポリエステル塗装の部分は、界面活性剤入り中性洗剤・次亜塩素酸ナトリウム・エタノールすべてOKです。
ただし、メーカーロゴや譜面台を固定している金具などの金属部分は、界面活性剤入り中性洗剤のみOK。
木目調のピアノは種類によって塗装が異なります。
艶出し塗装であれば黒と同じくポリエステル塗装なので、上記のように消毒が可能です。
半艶消しのピアノはウレタン塗装、オープンポアは油性塗料とウレタンを木そのものに染み込ませて仕上げているので、基本的に消毒液の使用は避けましょう。
外装部分も鍵盤と同じように、溶液を染み込ませて固く絞った柔らかい布でまず拭きます。
5分間置き、その後水を染み込ませて固く絞った柔らかい布で水拭きします。
さらに乾拭きをすれば完了です。
まとめ
界面活性剤入り中性洗剤は、手が触れる可能性の高い部分の消毒にオールマイティに使えます。
次亜塩素酸ナトリウムは鍵盤・鏡面仕上げ外装部分に使用できますが、金属部分は避けましょう。
エタノールは一番手軽ですが、鍵盤割れの可能性がありますので、鏡面仕上げ外装部分のみに使用しましょう。
ハイブリッドピアノや電子ピアノ、グランドピアノの特注などは塗装や使用されている材料が異なる可能性がありますので、ご自身のピアノを確認したうえでご参考くださいね。
ピアノは基本的に鍵盤や鍵盤蓋、譜面台などの手が触れる部分の消毒のみで大丈夫です。
アコースティックピアノは木で出来ているので水分は大敵。
基本は演奏前の手指消毒を徹底しましょう!
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