Q.「ピアノの背の高さで音は違うんですか?」
先日、ピアノの先生から、ご質問をいただきました。
「生徒さんが楽器店でピアノを見た際に、コンパクトタイプと背の低いタイプと標準タイプがあるって聞いたそうです。違いを説明したいのですが、どう答えたら良いでしょうか?」
A.一般的に、背が高いほうが響きが良く、音量の幅が広いです。
背が高いと何が変わるかと言いますと、大きくは次の3つです。
・響板の面積
・ピアノ弦の長さ
・共鳴箱の大きさ
背の高さが10cm高くなると、ピアノ弦は、ボディーの対角線上に張ることができるので12~3cm長くできます。低音の音程感はこれにより差が出ます。
※ピアノの外装を外すと、低音(左側)の弦と、中音や高音(中央から右側)弦が交差している様子を見ることが出来ます。
『響板』は、その弦振動を増幅し、耳に届ける役目なので、この板の面積が広くなると、小さな音から大きな音まで、より無理なく伸び伸び響かせることができます。
※写真はグランドピアノの響板です。竪型(アップライト)ピアノは、ピアノ面積いっぱいの長方形になります。
車で例えるなら、同じ80kmで高速を走っていても、軽自動車と乗用車とは乗り心地が違うのと似ています。ガタつかない、車内が静か、エンジンに負担をかけず、ゆとりをもって走ることで快適なドライブが可能になるのと似ています。
小さな車だと速度を上げるとより怖く感じませんか?小さなボディーにハイパワーなエンジンを積むと無理が出るからです。ピアノにも同じことが言えます。素直で綺麗なピアニッシモ、ひずみのない豊かなフォルテを響かせるには、ゆとりのある弦長と広い響板が必要なのです。
コンパクトタイプ(b113:高さ113cmなど)は、スペースやデザイン重視です。楽器としての音の響きや音程感を最優先にする作りではないので、高さによる違いをご試弾されたほうが、よりお好みのピアノに近づけるでしょう。
標準タイプは、一般的に高さ121cmのモデルを指す場合が多いです。ヤマハだと『YU11』が標準の高さになります。このピアノふは、100年以上前から、作られてきたヤマハ生粋のスタンダードタイプです。
ピアノの音やお子さんの学習効果を優先にお考えなら、121cmタイプ、できれば131cmモデルがお勧めです。
スペース、圧迫感軽減、低予算、デザインや木目などを優先されるならコンパクトや低身長を選ばれることでしょう。
ご予算から背の低いタイプしか選べないのであれば、中古ピアノも選択肢の一つかと思います。
是非、それぞれ試弾して音を聴き比べてからお求めいただくことをお勧めします。
(「素人だから分からないよ!」と言っていた旦那様も「聴いたら違いが分かった!」とよくおっしゃられます。)
※ご参考こちらをクリック⇒:トリイのヤマハ中古ピアノラインナップ
今回は以上です。ありがとうございました。