「あれなら僕にも出来そうだ!」
今年傘寿を迎えたKさんが、初めてチャレンジコンサートでピアノを弾いたのは5年前。チャレンジコンサートとは、ピアノ発表会と同様、人前で演奏を披露する場のこと。
定年退職したKさんの夢
定年退職後、それまで触れたことがないKさんがピアノを始めたのは、『憧れのショパンを女性の前で弾く自分の姿を思い描いたから』という、”ピアノ未経験者の男性によくある夢”でした。
ところが、経験のない人にとって両手の指をバラバラに動かすピアノは、想像以上に困難なこと。ましてや還暦を過ぎてからの技術習得はピアノでなくても大変なことです。
それでもKさんはコツコツと練習を重ね、少しづつ上達し、遂に憧れのノクターンを最後まで弾けるようなりました。その時の達成感は何にも代えがたい充実したものでした。
先生の勧めで、コンサートに出演することに
その瞬間を目の当たりにしたご指導のO先生は、
「ここまで上達されたのなら、絶対人に聴いてもらうべき!」と、チャレンジコンサートへの出演を勧めてくださいました。
でもKさんにとっては、”たくさんの人前で恥をさらすのでは・・”という不安が大きくなるばかり。何より、「シーン」と静まり返った雰囲気の中、”絶対緊張につぶされてしまう!”ことが怖いと感じました。
ただ、ここまで導いてくださった先生の勧めを無碍に断るわけにも行かず、結局押し切られる形で出演することになってしまいました。
「仕方ない!一時の恥と思い、清水の舞台から飛び降りるつもりで出ることにしよう。」
チャレンジコンサート出演当日
現地に着いて驚いたのは、平和堂の祭事スペースがコンサート会場だったこと。すぐ隣に食料品売り場とレジがあり、買い物客が絶えず行き来するなかでコンサートが始まりました。なんと、時には演奏途中にも館内放送が流れる有様・・・。
「こんなざわついた中で音楽コンサートが成立するのか?」
正直そう思いました。
それでも、来場者は笑顔が絶えません。
演奏が終わるたびに割れんばかりの拍手喝采。
子供たちのかわいいディズニーやジブリアニメの演奏に交じって、還暦を過ぎたであろう年代の方のピアノ演奏がはじまりました。
あきらかに緊張されている様子で、演奏も怪しいところがありましたが、演奏後には一際大きな拍手をもらっていました。
「そうか!完璧に弾けなくても大丈夫なんだ。それに、これだけ周りが騒がしいなら、多少失敗してもわからないな。」
幾分か緊張が和らいだころに、Kさんの順番が回ってきました。
止まり、止まり最後まで弾きました。きっとショパン本人が弾く3倍ほどの時間はかかったことでしょう。それでも、演奏後は会場全体から大きな拍手が起こりました。
「人前で弾くことは、なんとドキドキすることだろう。そして拍手のなんと嬉しいことだろう。大人の演奏は思いのほかウケが良いんだな。」
チャレンジコンサートに出演されたKさんの素直なお気持ちです。
その後、出演すること8回。
ちゃんとしたホールでの発表会にも参加しますが、このスポーツの草試合のような、気楽に参加できるチャレンジコンサートもピアノを続ける上での目標と励みになっています。
ショパンが好きなKさん。すでに新曲に取り掛かっておられます。次回のステージが今から楽しみだそうです。
大人の出演者が増えてきたチャレンジコンサート
回を重ねるごとに、大人のご出演が増えてきた「平和堂チャレンジコンサート」。
大人の楽器愛好者は年々増加傾向にありますが、気楽に参加できる発表の場はそれほど多くありません。
500円で参加できる街角コンサートは、ピアノやエレクトーンを人前で演奏した方ならどなたでも出演できます。
「出るのは勇気が足りなくて無理!!」と、おっしゃる方も、同年代の方がどんな演奏をされているか気になりませんか?
見るのも出るのも気楽なコンサート。是非、お買い物がてら見学にお越しください。
次回のチャレンジコンサート
■平成30年11月11日(日) 13:00スタート
■平和堂和邇店 1Fセントラルコート
■出演者 4歳から65歳までのピアノ・エレクトーンを人前で演奏したい方 66名 63ステージ。
■見学無料。予約不要
■お問合せ (株)トリイチャレンジコンサート係まで 0740-22-2063
※ご希望者にはプログラム差し上げます。